第29回 月例展開催


イベント詳細


熊楠とゆかりの人びと 第12回 平田寿男

このたび平田寿男遺族の平田誠男氏より、平田寿男宛南方熊楠書簡を中心に、関係書簡一式及び平田寿男植物標本一式を南方熊楠顕彰館へご寄贈いただきました。
熊楠の植物学関係の業績は、田辺周辺や熊野をフィールドとした地域や、そこに居住する人々との結びつき、ネットワークを通して構築されたものですが、具体的な地域や人びととの交流は、このような書簡を通して知りうるわけです。
先学の方がたが整理し公表していただいた『書簡集』などは大切な財産と言えますが、新しい視点に基づくより深い分析や研究は、第一次資料に目を通すことによって検証され、すすめられていくものです。
その意味では、「きのこの四天王」の一人であった平田寿男の書簡や植物標本が、南方熊楠顕彰館に寄贈されたことは、大きな意味があります。熊楠は生前、『南方熊楠閑話』、『南方熊楠随筆』、『続南方熊楠随筆』を刊行していますが、自然科学の分野で学会に発表したり、書籍を刊行したりすることはありませんでした。門弟などに出した手紙を調べることで、初めて熊楠の思考や思想を窺い知ることができるのです。
今回の展示は、寄贈資料を中心に、熊楠と平田寿男の交流に焦点をあてるものです。未だ封書については翻刻できていませんが、この展示が今後の研究の礎になれば、と期待しています。
なお、資料をご寄贈いただいた平田誠男氏に改めて特に記して、御礼申し上げます。

平成23年1月22日

南方熊楠顕彰館館長    中瀬 喜陽
南方熊楠顕彰会学術部部長 浜岸 宏一
※平田寿男(ひらた・としお)
平田寿男は、南方熊楠をとりまく門弟の一人で、「きのこの四天王」の一人である。
1905(明治38)年西牟娄郡岩田村岡(現上富田町)に生まれ、日高の県立農林学校を出て農業会技手になり、1926(大正15)年に教職につき、岡、白浜等の小学校に勤務し、久木、近露両小学校の校長をつとめて1961(昭和36)年退職。昭和初年から南方の指導をうけ、菌、粘菌類を熱心に採集して研究に協力した。1972(昭和47)年67歳で死去。
〔紀南文化財研究会編『改訂南方熊楠書簡集』より〕
開催期間
平成23年1月22日(土)~2月27日(日)

会場
南方熊楠顕彰館1F

■展示内容
はじめに
南方先生の思い出
既出書簡
新出書簡

■展示物
1.寄贈3173 小畔四郎名刺
2.寄贈3001 昭和5年5月7日付平田寿男宛書簡(封書)
3.寄贈3045 昭和6年10月21日付平田寿男宛書簡(葉書)
4.平田寿男 ヤツシロラン標本
5.南方熊楠 ヤツシロラン標本
6.寄贈3002 昭和5年7月14日付平田宛書簡(封書)
7.寄贈3003 昭和5年12月21日付平田寿男宛書簡(封書)
8.寄贈3011 昭和12年4月4日午後2時付平田宛書簡(封書)
9.寄贈3042 昭和6年5月12日付平田寿男宛書簡(葉書)
10.来簡3528 昭和8年5月16日付南方熊楠宛平田寿男書簡(葉書)
11.寄贈3043 昭和6年5月17日付平田寿男宛書簡(葉書)
12.来簡3529 昭和6年5月19日付南方熊楠宛平田寿男書簡(葉書)
13.寄贈3057 昭和10年4月23日付書簡(葉書)
14.寄贈3063 昭和11年8月11日付書簡(葉書)
15.寄贈3034 昭和4年10月21日付書簡(葉書)
16.寄贈3036 昭和5年3月9日付書簡(葉書)
17.寄贈3038 昭和5年8月8日付書簡(葉書)
18.寄贈3041 昭和5年10月9日付書簡(葉書)
19.寄贈3047 昭和7年5月8日付書簡(葉書)
20.寄贈3055 昭和9年11月16日付書簡(葉書)
21.寄贈3056 昭和9年11月19日付書簡(葉書)
22.寄贈3060 昭和10年7月25日付書簡(葉書)
23.寄贈3074 昭和12年4月6日付書簡(葉書)
24.寄贈3086 昭和13年11月10日付書簡(葉書)
25.寄贈3087 昭和13年11月17日付書簡(葉書)
26.和古610.14 本草啓蒙補遺
27.マサキ標本

■担当
浜岸宏一
■説明会(無料、事前申込不要)
1/29(土):中瀬 喜陽(南方熊楠顕彰館 館長)
2/26(土):浜岸 宏一(南方熊楠顕彰会 学術部 部長)
各回2:00~
休館日
ホームページの休館日カレンダーをご参照下さい。
※2月の前半に長期の臨時休館があります。