第35回月例展 熊楠とゆかりの人びと 第18回『榎本宇三郎・幸治 父子』


イベント詳細


田辺湾に浮かぶ「神島」は、古来より海を守る神が宿る島として、地元の漁師達にあがめられてきた。明治42年、神社合祀令で神島の弁財天が大潟神社に合祀されると、44年に樹木が伐採されることとなった。漁師らの通報で知った熊楠らが、時の村長榎本宇三郎を説得、宇三郎は伐採中止を議会に諮るなど保全につとめた。明治45年に魚付保安林として指定された後も、熊楠や榎本宇三郎・幸治らは神島の調査を行うとともに、県会議員等に働きかけ、和歌山県指定の天然記念物、そして昭和10年には国指定の天然記念物に指定された。
熊楠から榎本父子への手紙の内容や幸治の回想をパネル化するとともに、当時の手紙や写真などの展示を行い、南方熊楠と榎本宇三郎・幸治父子との関係をご紹介いたします。
■展示内容
◆榎本宇三郎・幸治と南方熊楠の出会い
◆神島神林保存の先達者榎本宇三郎
◆榎本幸治の神島の植物調査
◆熊楠と榎本家との交流
■展示資料(予定)
◇南方熊楠宛榎本宇三郎書簡
◇当時の写真(神島での南方熊楠、神島、榎本幸治、歌碑建立記念など)
◇榎本宇三郎宛書簡(新庄村より)
◇当時の絵葉書(ハカマカズラ)
◇榎本幸治宛南方熊楠書簡(榎本家所蔵)
◇粘菌進献目録(昭和7年)
◇神島実測図(昭和9年)
◇神島樹木分布図(昭和9年)
◇神島史跡名勝天然記念物申請書
■説明会
●日時:2月17日(日)・3月16日(土) 両日とも14時~15時
●講師:浜岸宏一(南方熊楠顕彰館館長)
■人物紹介
※紀南文化財研究会編『改訂南方熊楠書簡集』(平成20年3月)より
□榎本宇三郎(えのもと・うさぶろう)
明治8(1875)年、田辺町栄町に生まれる。旧姓玉置。新庄の山幸榎本家の婿養子となり家業の木炭商を営む。新庄村の村長を明治41年から大正9年まで、更に昭和7年から一年間勤める。明治末期、神社合祀で伐採することになった神島の樹林を、南方の建言に従って保存の措置をとり、南方はそれを徳とした。昭和19年、69歳で死去。
□榎本幸治(えのもと・ゆきじ)
明治42(1909)年、宇三郎の長男として西牟婁郡新庄村(現田辺市)に生まれる。田辺中学校を卒業して家業の木炭商に従事する。昭和4年の秋、神島で珍しい粘菌を発見して南方を喜ばせ、以後も屡々神島に渡り粘菌や菌類を採取して届ける。戦後材木商に転じ、山幸林業社長、白浜ビーチゴルフ倶楽部社長など勤める。平成6年、86歳で死去。

会期 2013年2月16日(土)~3月17日(日)
時間 10:00~17:00(最終入館16:30)
会場 南方熊楠顕彰館
休館日 2/18(月)・25(月)・26(火)・3/4(月)・11(月)・12(火)
入館料 無料